LATE LATE SUMMER


『LATE LATE SUMMER』 ブレッド&バター   ☆☆☆☆

 ブレッド&バター、通称ブレバタが1979年に発表したアルバム。ブレッド&バターは兄弟のデュオで、どこかの時点で大ブレークしたというわけじゃないが、湘南あたりでカフェをやったりセーリングしたり好きなことしながらマイペースで音楽活動してます、というスタンスは嫌いじゃない。このアルバムはブレバタの活動の中でマイルストンとなった傑作で、色んな意味で出来がいい。

 まず、呉田軽穂ことユーミン作の「あの頃のまま」が一曲目に収録されていて、ブレバタの声が映える超キャッチーなメロディーはさすがだ。他にもいい曲が揃っていて、「別れのあとの想い」「忘れ得ぬ貴女」のような美しいバラードから、「タバコロード20」や「SUMMER BLUE」みたいな清涼感漂う曲まで、いいバランスで構成されている。それからティン・パン・アレーのアレンジと演奏も聴きもので、品格のある、乾いた演奏で渋みを加えている。ブレバタの声は甘過ぎるぐらい甘いので、これぐらいのアレンジがちょうどいいのである。昔買ってすぐに手放した『SUPER BEST 2000』というベスト盤では、「あの頃のまま」が何だかケバケバしいアレンジに変えてあって聴くにたえず、愕然としたものだ。しかし、このアルバムのサウンドは今聴いても古びていない。洗練されていて心地よいだけでなく、ティン・パン・アレーらしい冒険やひねりもあり、たとえば最後の甘美きわまりないバラード「JULIANNE」は後半いきなりレゲエになる。最初聴いた時は驚いた。

 ただ、「青い地平線-Blue Horizon」だけ妙に雰囲気が歌謡曲っぽい。と思ったらこれだけ作曲・編曲が筒美京平だった。どういう経緯か知らないが、シングル曲として作られたのだろうか。他の曲と違って懐メロ的に聞こえる。

 ブレバタは湘南サウンドといわれるが、サザンやユーミンみたいに派手なリゾート・サウンドではなく、どこかひなびている。夏といっても憂いを帯びた夏だ。それに岩沢兄弟が書く曲はさすが兄弟というかテイストが似ていて、アルバムを通して統一感がある。たとえば二人オフコース時代の小田と鈴木のような、音楽性のギャップがない。

 そして、なんといってもブレバタといえばあの声。まるで変声期前の少年みたいな不思議なボーイソプラノだが、その声ももちろんたっぷりと堪能できる。兄がリードを取る時は弟がバックコーラスをやり、弟がリードが取る時は兄がバックコーラスをやるというコンビネーションの妙がまたいいんだな。

 ブレバタ入門としてはこの『LATE LATE SUMMER』か、『MONDAY MORNING』をオススメします。