2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

シッコ

『シッコ』 マイケル・ムーア監督 ☆☆☆☆☆ 日本語版ブルーレイを買って再見。くやしいけれども、この手のドキュメンタリーはどうしても日本語字幕がついていないと、充分腹落ちするまで理解できない。 さて、これはマイケル・ムーア監督がアメリカの医療保険制…

あと千回の晩飯

『あと千回の晩飯』 山田風太郎 ☆☆☆★ 山田風太郎のエッセイ集『あと千回の晩飯』を読了。 ご存知の通り、山田風太郎氏の小説はとにかく極彩色でアクが強く、司馬遼太郎氏のようなアカデミックな高尚さには欠ける代わりに、毒々しい麻薬的な面白さで読者を魅…

私たち異者は

『私たち異者は』 スティーヴン・ミルハウザー ☆☆☆☆ ミルハウザーの最新短篇集を読了。7篇収録されている。 スティーヴン・ミルハウザーといえば自動人形やアニメーションや空飛ぶ絨毯などの童心をくすぐるアイテムを題材に、荒唐無稽なまでの「驚異」を創り…

拝啓天皇陛下様

『拝啓天皇陛下様』 野村芳太郎監督 ☆☆☆☆☆ 日本版DVDを取り寄せて鑑賞。期待以上の素晴らしさで、もっと早く観なかったのを後悔した。 タイトルを見て、右翼対左翼イデオロギー的なものを感じて敬遠している人がいたら、心配ないのですぐに観て下さいと言い…

遠い接近

『遠い接近』 松本清張 ☆☆☆☆★ 定期的に読みたくなる松本清張の、読んでも読んでもなくならない未読本の中から『遠い接近』を入手。これは太平洋戦争に徴兵されて家族をなくした男が、故意に自分を狙って召集令状を出した役人を見つけ出し復讐するという話。…

日日是好日

『日日是好日』 大森立嗣監督 ☆☆☆☆ タイトルは「にちにちこれこうじつ」と読む。黒木華主演、樹木希林出演の茶道がテーマの映画と聞いて名作の予感がし、日本版ブルーレイを買った。原作は森下典子氏の自伝エッセイ。 エッセイの映画化なので、それほど劇的…

掃除婦のための手引き書

『掃除婦のための手引き書』 ルシア・ベルリン ☆☆☆☆☆ 岸本佐知子氏の訳ということで興味を持ち、ルシア・ベルリンという作家の短篇集を入手した。エキゾチックなヨーロッパ風の名前だが、アメリカ人生まれの女性作家である。表紙が著者本人のポートレートで…

ソニはご機嫌ななめ

『ソニはご機嫌ななめ』 ホン・サンス監督 ☆☆☆★ 日本版DVDを購入して鑑賞。例によって隙間が多く風通しが良く、オフビートでつかみどころがなく、あっけらかんと観客の思い込みのハシゴを外してくるホン・サンス・マジックは健在である。 しばらく行方不明だ…

藻屑蟹

『藻屑蟹』 赤松利市 ☆☆☆☆★ 大藪晴彦新人賞作家のデビュー作。作者は60代前半らしい。完全に遅咲き、しかも元除染作業員にしてホームレスという異色の経歴の持ち主。何もかも型破りずくめだが、このデビュー作『藻屑蟹』がまた福島震災と除染作業が題材とい…

許されざる者

『許されざる者』 クリント・イーストウッド監督 ☆☆☆☆☆ 『ミスティック・リバー』に続き、イーストウッド監督の『許されざる者』をiTunesレンタルで鑑賞。これは初見ではないが、大昔にレンタルビデオで見て「なんだか主人公がカッコ悪い西部劇だな」ぐらい…