2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

下流志向(その1)

『下流志向』 内田樹 ☆☆☆☆☆ またしても内田樹氏の著作を読了。この人の本を全巻読破する勢いだが、面白くて止まらないのだからしかたがない。本書は教育、労働、そして師というものについて掘り下げた本で、大体において私が一大感銘を受けた『最終講義』の…

評決

『評決』 シドニー・ルメット監督 ☆☆☆☆☆ 三谷幸喜がどこかに書いていたのと同じく、私もやっぱり法廷もの映画が大好きで、『情婦』『推定無罪』『十二人の怒れる男』『それでもボクはやってない』『レインメーカー』など何度繰り返し見たか分からないし、そ…

真珠郎

『真珠郎』 横溝正史 ☆☆☆☆ 横溝正史の中篇集『真珠郎』を読了。「真珠郎」「孔雀屏風」の二篇が収録されている。これはかなり初期の作品集で、いずれも発表は昭和36年から37年頃。金田一耕助のデビュー作『本陣殺人事件』が1946年発表なので、それに先駆ける…

ポテチ

『ポテチ』 中村義洋監督 ☆☆☆★ 手持ちDVDで再見した。これは上映時間が1時間ちょっとと全国公開された映画にしては異常に短いが、原作が短篇なので、無理に引き延ばさず自然な形で映像化したのだろう。内容的にもテーマ的にも引き伸ばすほどの濃さもなく、と…

国語教師

『国語教師』 ユーディト・W・タシュラー ☆☆☆☆☆ ドイツ推理作家協会賞受賞、「このミステリーがすごい!2020年版」海外編第10位、「ミステリが読みたい! 2020年版」海外篇第4位&新人賞、という売り文句につられて買ったので完全にミステリだと思って読み始め…

ナイトクローラー

『ナイトクローラー』 ダン・ギルロイ監督 ☆☆☆☆★ Amazon Primeで再見。前観た時もすごい映画だと思ったが、二度観てもやっぱり迫力がある。迫力だけでなく、ギラつく刃のような剣呑さがみなぎっている。どう考えても傑作だ。Amazon Primeの会員はみんな観た…

蝶を飼う男

『蝶を飼う男 シャルル・バルバラ幻想作品集』 シャルル・バルバラ ☆☆☆★ シャルル・バルバラなる聞き慣れない作家の短篇集を入手した。19世紀後半のフランス人作家で、大詩人ボードレールと親しく交わり、ポーをボードレールに紹介し、リラダンとも面識があ…

地獄

『地獄』 中川信夫監督 ☆☆☆☆ クライテリオン版のDVDを購入して鑑賞。これは昔、高橋克彦氏が『幻想映画館完全版』の中で激賞していたので興味を持ち、ニューヨークのジャパン・ソサエティの日本映画上映会にまで出かけて行って観たフィルムである。中川信夫…

シンコ・エスキーナス街の罠

『シンコ・エスキーナス街の罠』 マリオ・バルガス=リョサ ☆☆☆☆☆ リョサの新刊が出たので飛びつくようにして買った。マルケスもコルタサルもドノソもフエンテスももはやこの世の人ではない現在、ラテンアメリカ文学勃興期の主要プレイヤーで依然書き続けて…

息子

『息子』 山田洋次監督 ☆☆☆☆☆ 日本版DVDを入手して鑑賞した。1991年公開の、今となっては30年近く前の映画だ。出演は永瀬正敏、三國連太郎、和久井映見、田中邦衛、いかりや長介、浅田美代子、原田美枝子、となんとなく懐かしさを感じるメンツである。無論今…