2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

野呂邦暢ミステリ集成

『野呂邦暢ミステリ集成』 野呂邦暢 ☆☆☆☆☆ 前に読んだ文芸ミステリ・アンソロジー『事件の予兆』で、掌編「剃刀」が印象的だった野呂邦暢のミステリ作品集を入手した。ミステリ作品といってもいわゆるミステリとは毛色が変わったものが多いので、「ミステリ…

美貌に罪あり

『美貌に罪あり』 増村保造監督 ☆☆☆☆★ 異常な映画『積木の箱』に続き、またしても増村監督+若尾文子の『美貌に罪あり』をDVDで鑑賞。このコラボの映画は一体どんなものが飛び出してくるかまったく予想がつかず、とてもスリリングだ。 さて、今回は少々事前…

推し、燃ゆ

『推し、燃ゆ』 宇佐美りん ☆☆☆★ 話題の芥川賞受賞作を読んでみた。いつもは賞を獲ったからといって購入したりはしないのだが、今回は「推し、燃ゆ」というタイトルのセンスにもしやと思って買った。新しい日本文学が登場したんじゃないか、つまり、従来の日…

きみのいもうと

『きみのいもうと』 エマニュエル・ボーヴ ☆☆☆☆☆ 『ぼくのともだち』が大変素晴らしかったので、それに続くボーヴの二作目『きみのいもうと』を入手、読了した。かなり上がっていた期待値もまったく裏切られなかった。『ぼくのともだち』同様、大して長くな…

積木の箱

『積木の箱』 増村保造監督 ☆☆☆★ 日本版DVDで鑑賞。またしても、増村監督+若尾文子コンビのトンデモ映画登場である。この二人が組んだ映画は本当にバラエティ豊かで、『清作の妻』『赤い天使』『妻は告白する』みたいな残酷美を湛えた芸術的な映画もあれば…

恋するアダム

『恋するアダム』 イアン・マキューアン ☆☆☆☆ マキューアンの新作が翻訳されたことを知って、さっそく入手。彼の小説は多少の出来不出来はあるが、チャレンジングで刺激的な題材という点では常に期待にこたえてくれる。本書もいつも通り、挑発的で現代的なテ…