2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

The Cakemaker

『The Cakemaker』 オフィル・ラウル・グレイツァ監督 ☆☆☆☆☆ iTunesのレンタルで鑑賞。邦題は『彼が愛したケーキ職人』だが、シンプルな「The Cakemaker」の方がずっといい。 イスラエル=ドイツ合作映画で、物語の舞台もベルリンとエルサレムである。ベルリ…

禁じられた恋の島(映画)

『禁じられた恋の島』 ダミアーノ・ダミアーニ監督 ☆☆☆★ 所有している日本版DVDで再見。これは数年前に日本に帰った時にDVD屋さんで発見し、「おお、こんなものが出ている!」と感動して買ってきたタイトルである。 前のブログで一度書いたけれども、モラン…

雪の日に傘をさす話

今週の水曜日に久しぶりにニューヨークに雪が降った。この冬はあまり雪が降らない。今回で多分三回目ぐらいだし、そもそもまだ大雪というものがない。もちろん、大雪やストームになると色々大変なので、ないに越したことはない。 水曜日に降った雪も、空から…

雁(小説)

『雁』 森鴎外 ☆☆☆☆☆ 前に別のブログで、豊田四郎監督版と池広一夫監督版の二つの『雁』の映画化を見比べてレビューを書いたことがあるが、こうなったら原作も読むしかないと思って読んでみた。一体あのメロドラマティックな物語がどう書かれているのか興味…

Searching

『Searching』 アニーシュ・チャガンティ監督 ☆☆☆☆ iTunesのレンタルで鑑賞。予告を見てなかなか面白そうだと思ったのだが、実際観てみると予想以上に良かった。韓国人一家が主役のスター不在の映画であること、SNSやインターネットが大きくフィーチャーされ…

カササギ殺人事件

『カササギ殺人事件(上・下)』 アンソニー・ホロヴィッツ ☆☆☆☆☆ うーむ、これは近年稀にみる大傑作かも知れない。前評判の高さは知っていたが、ここまでとは思わなかった。アマゾンの作品紹介やカスタマーレビューを読むと「アガサ・クリスティーを思わせ…

永い言い訳

『永い言い訳』 西川美和監督 ☆☆☆★ 日本版ブルーレイで再見。『ゆれる』『ディア・ドクター』などミステリアスな心理劇を得意とする西川監督の映画は、当たりはずれはあるけれどもどうしても気になって観てしまう。これまでの映画ではかなりトリッキーなシチ…

中国人の小さな女の子を見なかったかい?

90年頃のニューヨークで私が遭遇した、ちょっとした出来事について書きたい。まだ私がアメリカに来たばかりの頃の話だ。 ある週末の午後、私は友達の女性二人と一緒にイースト・ヴィレッジの映画館に行った。なんの映画だったかはもう覚えていないが、ハリウ…

光秀の定理

『光秀の定理』 垣根涼介 ☆☆☆☆ 先日読んだ『信長の原理』が大変面白かったので、今度は同じ作者の『光秀の定理』を読んだ。順序が逆になってしまったが、刊行の順番としてはこちらが先である。 本書もまた十分面白く、堪能できた。タイトル通り、今回の主人…

フロリダ・プロジェクト

『フロリダ・プロジェクト』 ショーン・ベイカー監督 ☆☆☆☆☆ Amazon Primeで鑑賞。傑作である。こんな映画がタダ同然で(会員になってさえいれば)観れるとは、贅沢な世の中になったものだなあ。 この映画の重要な特徴はそのミニマリズム的アプローチ、つまり…

インド人の大家と戦った話

(写真はホーボーケンの通りの光景。こんな感じのアパートが立ち並んでいる) ニューヨーク近郊でアパートを借りる時は、大家に気をつけた方がいい。と言っても気のつけようもないかも知れないけれども、少なくともアメリカには日本では考えられないようなと…

ラ・カテドラルでの対話

『ラ・カテドラルでの対話(上・下)』 バルガス・リョサ ☆☆☆☆☆ 分厚い岩波文庫上下巻で読了。リョサの代表作としてタイトルだけは昔から知っていたが、去年岩波文庫からこれが出るまで日本語版ハードカバーは入手困難で、アメリカに住んでいる私は読みたく…

知りすぎていた男

『知りすぎていた男』 アルフレッド・ヒッチコック監督 ☆☆☆☆ iTunesのレンタルで久しぶりに鑑賞。ヒッチコック映画の中でも5本の指に入る有名作だろう。主演はジェームズ・スチュアートとドリス・デイ。いわゆる「巻き込まれ型」スリラーの典型である。 妻と…