2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

イヴォンヌの香り(映画)

『イヴォンヌの香り』 パトリス・ルコント監督 ☆☆★ モディアノの原作小説が素晴らしかったので、昔観て全然記憶に残っていなかったルコント監督の映画をまた観てみようと思い、DVDを購入して再見した。 『イヴォンヌの香り』の公開は1994年で、ルコント監督…

玉藻の前

『玉藻の前』 岡本綺堂 ☆☆☆☆☆ たまものまえ、と読む。本書は岡本綺堂自愛の一篇だそうだが、平安末期の華麗な貴族社会を舞台に繰り広げられる伝奇物語で、金色九尾の狐という、一種の妖怪というか魔物が登場する。ストーリーは、この妖狐に憑かれて平安の世…

人間の証明

『人間の証明』 佐藤純彌監督 ☆☆☆★ ご存知、70年代末に大ヒットして日本中を席巻した角川映画『人間の証明』。超有名作だが、私はこのたびブルーレイで初めて鑑賞いたしました。なるほど、こんな映画だったんだなあ。 いい意味でも悪い意味でも70年代らしい…

息吹

『息吹』 テッド・チャン ☆☆☆☆☆ テッド・チャンの名前は前からなんとなく知っていたが、読んだのは今回が初めてだった。名前を知ったのは多分、映画『メッセンジャー』の原作者としてだったと思う。映画はセンス・オブ・ワンダーを感じさせる知的なSFという…

仕立て屋の恋

『仕立て屋の恋』 パトリス・ルコント ☆☆☆★ パトリス・ルコントは私のオールタイム・ベストのひとつである『髪結いの亭主』を撮った映画監督で、一時期『タンゴ』『タンデム』『リディキュール』『橋の上の娘』と彼のフィルムを取り憑かれたように観まくった…

『雲』 エリック・マコーマック ☆☆☆☆ 首を長くして待ったエリック・マコーマックの新刊だが、アマゾンから届いた時にはかなりの分厚さに驚いた。帯には「古書店で見つけた一冊の書物には、黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が記されていた」とある…