2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

十日間の不思議

『十日間の不思議』 ☆☆☆☆ エラリイ・クイーン 本書は『災厄の町』『フォックス家の殺人』に続く、ライツヴィル・シリーズの第三作目である。ライツヴィルはニューヨーク郊外にある架空の町で、ここを最初に訪れた時、古風な街並みに魅了されたエラリイはこの…

安珍と清姫

『安珍と清姫』 島耕二監督 ☆☆☆☆ またまた若尾文子が出ている映画を観たくなり、『安珍と清姫』の日本版DVDを入手した。市川雷蔵も出ていて一粒で二度おいしいが、内容的には変わり種のようなので、もしかすると大ハズレかも知れないと警戒しながら観た。 有…

口に出せない習慣、不自然な行為

『口に出せない習慣、不自然な行為』 ドナルド・バーセルミ ☆☆☆☆ 昔ドナルド・バーセルミのナンセンスがかった軽やかで実験的な短篇にハマり、何冊か短篇集を集めたがその後ずっとご無沙汰だった。最近本棚の整理をしていた出てきたので久しぶりに手に取り、…

山の人魚と虚ろの王

『山の人魚と虚ろの王』 山尾悠子 ☆☆☆☆ 前に読んだ『飛ぶ孔雀』があんまり好きじゃなかったのでしばらく遠ざかっていた山尾悠子だが、やっぱり気になってこの本も買ってしまった。例によって函入りで、凝りに凝った美しい装幀である。もう本人も出版社も一般…

日本のいちばん長い日

『日本のいちばん長い日』 岡本喜八監督 ☆☆☆☆☆ 日本版ブルーレイを購入して鑑賞。前々から傑作だとは聞いていたが、三船敏郎が切腹する場面のジャケット写真がイヤで観るのを避けていた。大体岡本喜八監督は『斬る』のように洒脱で痛快な映画もある一方、『…

バロック協奏曲

『バロック協奏曲』 アレホ・カルペンティエール ☆☆☆☆★ 所有している文庫本で再読した。本書は水声社の「フィクションのエル・ドラード」シリーズでも出ているらしいが、私が持っているのは以前日本に帰国した時に大枚はたいて買ったサンリオ文庫版である。 …