2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

サンディエゴ・ライトフット・スー

『サンディエゴ・ライトフット・スー』 トム・リーミイ ☆☆☆★ トム・リーミイは70年代に作品を発表したSF作家で、1977年にまだ若くして急逝した。処女長編の出版前の死だったので、生きていればどれだけ活躍したかと惜しまれた作家だという。つまり、まだまだ…

蛇精の淫

『蛇精の淫』 曲谷守平監督 ☆☆☆ 1960年公開の古いモノクロ映画で、上映時間は78分とかなり短い。監督にも作品にもまったく予備知識がなく、ただ蛇に憑かれた女と若者の恋物語という設定に惹かれて、ついDVDをアマゾンでオーダーしてしまった。要するに『雨月…

ぼくのともだち

『ぼくのともだち』 エマニュエル・ボーヴ ☆☆☆☆★ 肩の力が抜けた、とてもエレガントで洒落た小説である。著者エマニュエル・ボーヴは19世紀生まれ、没年は1945年。本書の刊行は1924年だが、とてもそうとは思えない。古色蒼然としたところなど毛ほどもなく、…

灰色の虹

『灰色の虹』 貫井徳郎 ☆☆☆☆ 貫井徳郎氏はこれまで『慟哭』ぐらいしか読んだことがなかったが、たまたま読んだ短篇集『崩れる』が結構愉しめたので、アマゾンで評判が良い長編小説を入手した。テレビドラマ化もされているようだ。 冤罪ものである。私は昔か…

快盗ルビイ

『快盗ルビイ』 和田誠監督 ☆☆★ 日本版DVDをアマゾンで取り寄せて鑑賞。この映画は大昔公開時に映画館で観たし、その後ビデオでも一回ぐらい観たはずだがすっかり内容を忘れていた。小泉今日子と真田広之が他愛もない「犯罪」を繰り返すストーリーなのは覚え…

柳生武芸帳

『柳生武芸帳(上・下)』 五味康祐 ☆☆☆☆ ずっと積読になっていた『柳生武芸帳』を、しばらく前にようやく読了した。時代小説の最高峰と言われる本書だけれども、読んでみて思ったのはこれは傑作・名作というより奇書だな、ということだ。ミステリでいうなら…