2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

モーム短編選(その2)

(前回の続き) まずは「コスモポリタンズ」誌に掲載されたショートショート数篇が冒頭に並んでいる。上巻同様、それぞれの作品に短いコメントをつける。 「物知り博士」 ショートショートその1。「私」が船旅で同室になったいやな奴のポートレイトを描く試…

モーム短篇選(その1)

『モーム短篇選(上・下)』 モーム ☆☆☆☆★ 岩波文庫から出ている『モーム短篇選』上下巻を読了。もともとモームは、代表作『月と六ペンス』が私のハートの中で殿堂入りしている、特別に思い入れがある作家だが、実は他の作品はあまり読んでいない。文学史的…

Eye In The Sky

『Eye In The Sky』 Gavin Hood監督 ☆☆☆☆ iTunesのレンタルで鑑賞。英国軍部の局地的な対テロリスト作戦を描いたものだが、新しいタイプの戦争映画といっていいかも知れない。テロリストのアジトを攻撃する時にもはやマシンガンを構えた兵士たちが突入するで…

ドニャ・ペルフェクタ: 完璧な婦人

『ドニャ・ペルフェクタ: 完璧な婦人』 ベニート・ペレス=ガルドス ☆☆☆★ スペインの作家ガルドスが19世紀後半に書いた『ドニャ・ペルフェクタ』を読了。実はそんな古い小説だとは知らず、アマゾンの「19世紀後半のスペインでは、精神・政治・経済などすべて…

45 Years

『45 Years』 Andrew Haigh監督 ☆☆☆☆☆ シャーロット・ランプリング主演の英国映画をiTunesのレンタルで鑑賞。邦題は『さざなみ』。しっとりした美しい映画である。芳醇にして静謐、まろやかにしてビタースイート、哀しみと幸福感をないまぜにして観るものを…

まるで天使のような

『まるで天使のような』 マーガレット・ミラー ☆☆☆☆ アマゾンのカスタマーレビューに並んでいる絶賛の言葉を見て、これはどうも読んだ方がよさそうだと思い購入。バクチで身を持ち崩した30代の私立探偵がふとしたきっかけで人探しを頼まれ、そこから込み入っ…

Senior

『Senior』 Royksopp ☆☆☆☆ 先ごろ解散してしまったエレクトロニカ・ユニット、ロイクソップの2010年リリースCD。シニアというタイトルでジャケット真っ黒けの陰気なイメージだが、この直前に彼らは『Junior』というCDをリリースしていて、こっちはジャケット…

沈黙の王

『沈黙の王』 宮城谷昌光 ☆☆☆☆ 宮城谷昌光の本を初めて読んだ。古代中国の物語を集めた短編集である。収録作品は「沈黙の王」「地中の火」「妖異記」「豊饒の門」「鳳凰の冠」の五篇で、一応歴史小説ということになるのだろうが、神話の色を帯びている。渋澤…

見知らぬ乗客

『見知らぬ乗客』 アルフレッド・ヒッチコック監督 ☆☆☆☆★ ヒッチコック51年の作品、モノクロ。数あるヒッチコック映画の中でもトップクラスの傑作である。主人公は有名なテニスプレイヤーのガイ。彼は欲深な妻ミリアムと別れて、美しく優しく家柄もいいアン…

歴史が後じさりする時(その2)

(前回からの続き) エーコのバランス感覚をよく示すもう一つの例は、ナイジェリアで起きたミスコンテストにまつわる暴動の一件である。性に厳しいイスラム教徒がミスコンテスト開催に反対し、強行されそうになったので暴動が起き、数百人の死者が出た。まさ…

歴史が後じさりする時(その1)

『歴史が後じさりする時』 ウンベルト・エーコ ☆☆☆☆★ 『もうすぐ絶滅するという書物について』と一緒に買ったエーコのエッセー集を読了。あちこちに発表された文章の寄せ集めなのでトピックもさまざまだし長さやトーンにもばらつきがあるが、ある程度はテー…

コントラクト・キラー

『コントラクト・キラー』 アキ・カウリスマキ ☆☆☆☆☆ 所有するDVDで再見。前に観た時よりはるかに面白かった。カウリスマキは独特の味を持つ映画作家なので、旨味を知ってやみつきになるとどんどん映画が面白くなり、するとまた更にやみつきになるという無限…

アルゼンチン短篇集

『アルゼンチン短篇集』 J. L. ボルヘス編 ☆☆☆☆ 『ラテンアメリカ怪談集』を再読して面白かったものだから、ボルヘス編集のアンソロジー『アルゼンチン短篇集』も再読した。アンソロジーとしての趣向は非常によく似ていて、幻想的な短篇を集めたものだし一部…

価格破壊

『価格破壊』 和田勉・演出 ☆☆☆☆ 1981年に放映されたNHKドラマのDVDボックスを入手した。ダイエーの創業者をモデルにした城山三郎の小説をドラマ化したもので、出演は山崎努、いしだあゆみ、松尾嘉代、大友柳太朗、植木等、佐分利信など。演出は和田勉。 物…