2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧
『男はつらいよ フーテンの寅』 森崎東監督 ☆☆☆★ シリーズ三作目を観た。まったくの初見である。これは山田洋次が監督しなかった『男はつらいよ』二作品の一つで、もう一つは四作目の『新・男はつらいよ』なのだが、そのせいかあまり人気がなく、やっぱり山…
『充たされざる者』 カズオ・イシグロ ☆☆☆☆☆ 『日の名残り』に続き『充たされざる者』を読了。 これはまた全然タイプが違う。とても奇妙な小説である。現代文学には「奇妙」といわれる作品も多いが、そんな中でもとびきり奇妙だ。少なくとも私はこれと似た感…
『キック・アス』 マシュー・ヴォーン監督 ☆☆☆★ 米国版のDVDで鑑賞。面白いという評判を聞いて観たいと思っていたのだが、DVDを手に取ってジャケットを見るとその気をなくしてやめるということを繰り返していた。このDVDジャケットからは正直、究極のお馬鹿…
『敵』 筒井康隆 ☆☆☆☆☆ ハードカバーで再読。円熟味溢れる傑作だ。 本書のテーマは「老い」である。といっても老いの辛さや悲しさだけでなく、老いの愉しみや醍醐味までが確信犯的に描かれているのが筒井康隆らしい。これはある意味、理想的な晩年の姿を描い…
『女の中にいる他人』 成瀬巳喜男監督 ☆☆☆☆★ 成瀬監督晩年の作品をDVDで再見。遺作である『乱れ雲』のひとつ前の作品だ。 いつもの成瀬映画を予想してこれを観ると激しく戸惑うことになる。日常の営みの中のさざ波を細やかに描く、といういつものスタイルと…
『日の名残り』 カズオ・イシグロ ☆☆☆☆☆ これはびっくり。なんと、こんなに面白い小説だったとは。「日の名残り」なんて地味なタイトルだし、書評も「静かな感動」とか「しっとりした抒情」とかそんなのばかりなので、よほど起伏に欠ける眠たい小説なのかと…
『Time Machine Tour』 Rush ☆☆☆☆ 4月10日の日曜日、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたラッシュのコンサートに行ってきた。うちは田舎なので日曜の夜にマンハッタンまで出かけるのは面倒なのだが、まあラッシュのコンサートとあれば仕方がない。 今…
イギリス人の女 ―短いゴシック・ロマン― 199*年の秋から冬にかけて、ぼくは長い休暇を取って東欧を旅行した。それが生まれて初めての一人旅だったが、ある時乗換駅で列車をつかまえそこね、どことも知れない田舎町で立ち往生してしまった。あたりは寒く、暗…
『理由』 宮部みゆき ☆☆☆☆ 再読。直木賞受賞作である。 宮部みゆきの小説にしては異色というか、特徴ある一作だ。ほぼ全篇ルポルタージュ形式になっている。もちろん創作なのだが、あたかも実際に起きた事件のルポという見せかけになっていて、たとえばイン…
『Shall We ダンス?』 周防正行監督 ☆☆☆☆ 日本版DVDで再見。やっぱり面白い。小粒感はあるものの、良作でしょう。ちょっと恥ずかしい競技に打ち込むスポ根もの、という邦画のジャンルがあるとすれば(『ウォーターボーイズ』『フラガール』など)、これもそ…
『血の伯爵夫人(I、II)』 アンドレイ・ゴドレスク ☆☆☆ 昔読んだはずだがよく覚えてないので再読。なんとなく思い出したが、再読するまでもなかったかな。 題材になっているのは16世紀末のハンガリーで何百人という女性を殺戮したといわれる、バートリ・エ…
『ファーゴ』 ジョエル・コーエン監督 ☆☆☆☆ DVDで鑑賞。『ノー・カントリー』で感動したコーエン兄弟、『バーバー』を観てスタイリッシュだけれども大したことないなあと思い、しばらく興味を失っていたが、これは面白かった。『バーバー』より全然こっちの…
『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』 カズオ・イシグロ ☆☆☆☆☆ カズオ・イシグロの短篇集を読了。面白い。正直、こんなに面白いとは思わなかった。イシグロの長編は前に『わたしを離さないで』を読んだことがあるだけで、その印象から比較的エンタ…
『復讐するは我にあり』 今村昌平監督 ☆☆☆☆☆ 米国のCriterion版を購入して鑑賞。初見である。ただし存在ははるか昔から知っていた。印象的なタイトルだし、裸の女性が横たわっている前に緒方拳が座り二ヤッと笑いながらこっちを見ている、という例のポスター…